tag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.comments2011-11-07T14:47:25.787+09:00野川 vs 安藤 Blogmunetomoandohttp://www.blogger.com/profile/00113393863268478771noreply@blogger.comBlogger34125tag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-53272872264120456672011-11-07T02:58:43.380+09:002011-11-07T02:58:43.380+09:00ご返信、ありがとうございます。
そもそも安藤先生の議論は、野川先生の論理を捉えて、それを援用すると...ご返信、ありがとうございます。<br /><br />そもそも安藤先生の議論は、野川先生の論理を捉えて、それを援用するとこうなりますが本当でしょうか?という議論の進め方をされていますよね?<br />野川先生の「実際の現場では、労働者も使用者も、提示されているような合理的な選択をしない結果となる事態がいくらでも発生します。 (中略)こうした事態が生じるのは、やはり総体としてみれば労働者と使用者との間には格差があると一般的に評価せざるを得ないから」という部分を捉えて、先生の論理を援用すると規制の根拠は「使用者は合理的だが労働者は合理的ではないため,判断力の面で非対称であり,これが交渉の非対称を通じて社会的に望ましくない結果をもたらす。よって仮に当事者たちが合意した内容であっても,その合意は判断力の欠如に基づくものである可能性があるため,一定程度の制約を課すことが必要である」という論理になるが、これは本当でしょうか、という議論をされていますよね。それは全くその通りに安藤先生のご主張は認識しているつもりです。<br />そのご主張が野川先生の論理を捉え損なっていると思うのです。<br />1)まず、上記の野川先生の引用部分では「労働者も使用者も」と記載されておりますので、「使用者は合理的だが労働者は合理的ではないため」という前提は引き出し得ないはずです。上記の文言によれば、使用者も合理的な選択をしない結果となる事態があるということになりますから。<br />ただし、ここでの「合理的な選択」というのは、野川先生がその枕詞に「提示されているような」という文言をつけていることを勘案すれば、ここで言われているのはあくまでも「経済的なモデルケース」上の合理性ということです。経済モデルからすれば、市場価格からかなり外れた(低い)価格で労働力を買おうとすれば、当然、労働者はより適正な価格を提示する職場に逃げて行ってしまうので、合理的な経営者ならばより市場価格に近いところで双方の落としどころを探るはずです。しかし、野川先生が指摘しているのは、実際の現場では、そのような経済モデル上の合理的な計算を行わなくても(適正価格に近付けなくても)、労働力を買いたたける事態が発生しているということです。現実の企業活動からすれば、安く買いたたけるものを安く買いたたくというのは極めて「合理的」な話ですが、経済モデル的に言えば、(安藤先生の例を一部拝借して)Y社がAさんに年収200万円しか提示しなかったり、AさんがY社に年収200万円で買いたたかれてしまのは非合理というほかないでしょう。もっともお互いがその条件で納得するなら、それが適正価格だし、合理的なのだと言うこともできるでしょうが。<br />2)安藤先生の引用では省かれていますが、野川先生は「労働者と使用者との間には格差があると一般的に評価せざるを得ない」と書く前に、「こうした事態が生じるのは」と書いているはずです。「こうした事態」というのは、「悪質なベンチャー」の経営手法と「不合理に搾取されても黙って働く労働者」の存在ということになるかと思いますが、そこに「こうした事態が生じるのは」と続けば、その後段はその事態が生じる原因について述べていると考えるのが適切な読み方ではないでしょうか。野川先生は「労働者と使用者の間には格差があり、こうした格差が生じるのは、不合理に搾取されても黙って働く労働者が存在するためだ」という議論の進め方はしていないはずです。<br />正確に言えば、野川先生は上記の議論の部分では、まだ何故格差が現在も存在するのかは具体的に説明はしていません。昔と本質的には変わらず格差が生じていると判断しうる事例を提示しているだけです。これはすなわち、「悪質なベンチャー」の経営手法と「不合理に搾取されても黙って働く労働者」が併存しうるのは、やはりまだそこに交渉力の格差が存在しているからだと評価しうるという主張をしているのみということになります。<br />その意味で、野川先生が上記で主張されているのは、「あくまで交渉力の格差であり,判断力の欠如ではなかった」はずです。<br /><br />と、すみません、安藤先生の質問まで至りつきませんでしたので、その点についてはまた後日。明日も朝から仕事なので…。また、野川先生、かなり私の主観的な読みも入っているかと思いますので、正しい理解でなかったら、申し訳ないです。aleksandr nikolayevichnoreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-24316453347282727982011-11-06T18:57:13.142+09:002011-11-06T18:57:13.142+09:00コメントありがとうございます。
まず私の主張は「合理的でない人がいるから非対称である」というもので...コメントありがとうございます。<br /><br />まず私の主張は「合理的でない人がいるから非対称である」というものです。より丁寧に書けば,「使用者は合理的だが労働者は合理的ではないため,判断力の面で非対称であり,これが交渉の非対称を通じて社会的に望ましくない結果をもたらす。よって仮に当事者たちが合意した内容であっても,その合意は判断力の欠如に基づくものである可能性があるため,一定程度の制約を課すことが必要である」といった内容です。<br /><br />これに対して,頂いたコメントでは私が原因と結果を取り違えているということですが,そうなると「交渉力が非対称だから非合理的になる」ということになってしまいます。これは本当でしょうか。どのような理屈でそうなるのかが理解できないので,もしよろしければもう少しご説明頂けませんか。munetomoandohttps://www.blogger.com/profile/00113393863268478771noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-45139921563609621682011-11-06T02:04:48.789+09:002011-11-06T02:04:48.789+09:00いつも興味深く拝読しております。以下少し長いかもしれませんが、コメントさせていただきます。
本エン...いつも興味深く拝読しております。以下少し長いかもしれませんが、コメントさせていただきます。<br /><br />本エントリの安藤先生のご指摘――「労使に格差があることの原因として,合理的な選択をしないことが挙げられている」というのは、野川先生の論旨からすると原因と結果が転倒しているように思います。<br />野川先生は、「労働者が合理的な選択をしない結果となる事態がいくらでも発生」するという現実(結果)から「やはり総体としてみれば労働者と使用者との間には格差があると一般的に評価せざるを得ない」という評価(原因)を導き出しているのであって、「労働者が合理的な判断をしない(できない)から(原因)、労使の間に格差が生じている(結果)」とおっしゃっているのではないと思います。<br />なので、この後の(より良い条件が提示されてもそれに乗らないような)不合理な労働者像を提示して行われる労働者の判断力についての議論も、野川先生の論理からすれば的を外している、というかかみ合っていないという印象です。<br />野川先生がおっしゃっている「合理的な選択をしない結果となる事態がいくらでも発生します」というのは、安藤先生が提示しているような契約モデルの枠内での話ではなく、日本の労働現場・労働市場が抱える種々の問題も含めた現実の中での話なのだと思います。<br />世の中には、低賃金で、残業代も出ず、有給も与えられないような職場でも働き続ける人はたくさんいます。傍から見れば今よりマシな条件の職場はたくさんあるはずだけれども、それでも転職に踏み切れない人達がいます。その人達だって、確実に入社できる年収500万円(もちろん法令を順守する企業であるとします)の職場が提示されれば、ほぼ確実に転職するでしょう。しかし、現実にはそんなオイシイ事態はほとんど起こりません。生活費の蓄えの問題、転職活動がうまくいかなかった場合の失業リスク、うまくいってもまたブラック企業に入ってしまうような可能性、年齢的な問題等々、現状維持の選択を取らせる要因は多々あります。<br />これは安藤先生が提示するような「判断力の欠如」で片づけられる問題ではなく、労働者のよって立つ基盤の脆弱さ、そしてそれから出来する労使の交渉力の格差の問題なのではないでしょうか。<br />もちろん、この場合、労働者の脆弱さ、交渉力の格差を改善するためには、単に労基法による保護だけに頼るのではなく、労働市場の改革や不合理な雇用慣行を是正していくことが必要です。ただ、どこまで行っても、経済学が想定するモデルのような麗しい労働市場は難しいと思いますので、労基法による保護はやはり必要になるだろうとは思います。当然、環境が変われば労働者保護の在り方も変わるでしょうが。<br />おそらく、安藤先生は意識的に、問題を切り分けて単純化したモデルで論理を組み立てておられるのだと思います。政策的な解決策を導き出すためにはそれは必要な手段だと思いますが…。aleksandr nikolayevichnoreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-77492109289337802202011-10-14T14:39:49.632+09:002011-10-14T14:39:49.632+09:00いつも楽しく拝見させて頂いています。少し議論の中で気になったのですが、以下の二つの主張について、裏付...いつも楽しく拝見させて頂いています。少し議論の中で気になったのですが、以下の二つの主張について、裏付けとなるデータはお持ちですか?特に、2)については、企業のキャッシュフローから労働者への分配を細かくみれば、19世紀と21世紀の日本についても、ある程度は数字として違いが見えてくるのではないでしょうか。<br /><br />1)特に現在では、悪質なベンチャー企業も多く、2年だけ会社を立ち上げてその間全く長期的展望を持たずに徹底的に労働者を搾取しまくり(とりわけ今のような時代なら、2年程度はどれほど不合理に搾取されても黙って働く労働者を雇うことに事欠かないでしょう)、すみやかに会社をたたんでしまって一応の資金だけ得て、あとはあまり危ない橋をわたらずに会社経営を行う、ということは珍しくありません。<br /><br />2)こうした事態が生じるのは、やはり総体としてみれば労働者と使用者との間には格差があると一般的に評価せざるを得ないからであって、、19世紀の工業国と21世紀の日本とで本質的な違い(雇われる立場の者が雇う立場の者に対して上限関係と支配関係に立つという事態の本質的な変化)は、少なくとも事実としては見えてこないのではないでしょうか。Satoshinoreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-32663546905551907192011-09-07T05:37:04.832+09:002011-09-07T05:37:04.832+09:00野川忍様、安藤至大様様
このたび、ウェブサイト「ろんじんネット」http://ronzine.ne...野川忍様、安藤至大様様<br /> このたび、ウェブサイト「ろんじんネット」http://ronzine.net/ を公開致しました。<br />弊サイトは、政治、経済、社会に関する読み応えのあるブログを紹介し<br />その更新情報や注目されている記事をお伝えするサイトです。<br />貴ブログを勝手ながらご紹介させていただいておりますのでご挨拶に参りました。<br />昨今、ブログはその潜在力をまだ充分に発揮していないと考えておりますが、<br />ろんじんネットは読者と著者双方へのメリットをご提供させていただくことで<br />ブログの発展を微力ながら後押しできるのではないかと考えております。<br />突然の、記事内容に無関係のコメント失礼致しました。<br />野川忍様、安藤至大様の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。ろんじんネットhttp://ronzine.net/noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-7492762487877600942011-05-18T21:11:59.929+09:002011-05-18T21:11:59.929+09:00かつて救貧法という制度がイギリスにはあり、最低生活費に満たない額は自動的に支給されていました
これに...かつて救貧法という制度がイギリスにはあり、最低生活費に満たない額は自動的に支給されていました<br />これにより労働者の生活は改善しましたが、企業は支給されるということで人件費を下げ始め、国の負担が大幅に増してしまいました<br />また、働いても働かなくても給料が変わらないので、働こうとする人自体減ってしまいました<br /><br />もし、行うとすれば、企業に最低生活費分を支給する制度が考えられますが、支給額を生活保護と同じにしてしまえば、働いても働かなくても同じになってしまうという欠点があります<br />また、この方法をもってしても、企業が人件費を切り下げてくることには変わらないので、財源が問題になってくる可能性が非常に高いと思います<br /><br />(平成22年の労働力人口は6600万人なので、全員に16万支給する仮定すると、6600*10^4*16=10兆円ぐらいの額が必要になります)Anonymousnoreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-19608377510676980172011-05-18T21:06:09.696+09:002011-05-18T21:06:09.696+09:00このコメントは投稿者によって削除されました。Anonymousnoreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-72229899071340160142011-04-20T04:24:27.170+09:002011-04-20T04:24:27.170+09:00Shujiさん
コメントありがとうございます。
定性的な議論ではなく定量的な議論を望む気持ちは良く...Shujiさん<br /><br />コメントありがとうございます。<br />定性的な議論ではなく定量的な議論を望む気持ちは良くわかります。<br />私もできればそのようにしたいのですが,いくつかの論点については実際のところそうするのは難しいと考えています。<br /><br />例えば不当解雇とは定義が難しいですし,データとして把握できるのは訴訟になったものだけで,泣き寝入りしているものについては数が分かりません。<br />また特区を作って実際に管理された実験が行えるなら,かなり有効なデータが得られるのですが,それも簡単なことではありません。<br /><br />しかし過去の経験や他国の制度変更時などのデータを利用できる場合には,今後できるだけ触れたいと思います。munetomoandohttps://www.blogger.com/profile/00113393863268478771noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-44876850240456210612011-03-01T10:35:25.782+09:002011-03-01T10:35:25.782+09:00いつも興味深く拝読しております。個人的な意見なのですが、どうも議論が規範論に偏っているような気がしま...いつも興味深く拝読しております。個人的な意見なのですが、どうも議論が規範論に偏っているような気がします。<br /><br />たとえば中小企業の不当解雇が年に何件ぐらいあり、ご提案の制度が導入されればこれが何件ぐらい減るはずである。あるいは失業率にこのような影響がある。非正規労働者の割合にこの程度のインパクトがあると予想される。というような定量的な議論は不可能なのでしょうか?Shujihttp://lbs.air-nifty.com/noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-35993089876091583882011-02-25T14:28:05.654+09:002011-02-25T14:28:05.654+09:00とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。とても魅力的な記事でした。<br />また遊びにきます。<br />ありがとうございます。履歴書の書き方の見本http://www.rirekisho-check21.com/noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-21551869713459228792011-02-10T02:29:01.902+09:002011-02-10T02:29:01.902+09:00Tetsuoさん
こんばんは。安藤です。
ご質問の件に関しては、労働集約的な産業かどうかで判断する...Tetsuoさん<br /><br />こんばんは。安藤です。<br />ご質問の件に関しては、労働集約的な産業かどうかで判断するよりも、輸入が容易かどうかが重要だと思います。<br /><br />例えばタオルを織るなどの製造業は途上国との競争にさらされますが,サービス業の多くは今後も国内の労働者により直接的に供給されるでしょう。その意味では、日本に住んでいて日本語が使える労働者というだけで、かなりの差別化が図れているともいえるのです。<br /><br />また途上国との賃金競争に巻き込まれないような分野で活躍できるように教育することも重要ですね。munetomoandohttps://www.blogger.com/profile/00113393863268478771noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-55894032534383652872011-02-10T02:16:14.335+09:002011-02-10T02:16:14.335+09:00匿名さん、
こんばんは。安藤です。
確かに個々の企業が自分で最初から「多様な内容の契約」を設計する...匿名さん、<br /><br />こんばんは。安藤です。<br />確かに個々の企業が自分で最初から「多様な内容の契約」を設計するのであれば費用がかかるため、容易ではないでしょう。<br /><br />しかし個々の企業が多様な契約を提示するということではなく、社会全体を見たときに多様性があればそれで十分だと思います。<br /><br />当初は、おそらく一部の先進的な企業が実験的に採用することから始まるのでしょう。しかし新たな契約のうちのいくつかが上手くいけば、それを模倣する企業も出てくると思われます。このようなプロセスであれば、多くの企業はそれほど費用をかけずにすむのではないでしょうか。munetomoandohttps://www.blogger.com/profile/00113393863268478771noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-15454171441317342102011-02-05T22:34:35.121+09:002011-02-05T22:34:35.121+09:00野川さん
仰っている趣旨は大変よく理解できました。ご丁寧な回答有難うございます。野川さん<br /><br />仰っている趣旨は大変よく理解できました。ご丁寧な回答有難うございます。根津http://lbs.air-nifty.com/noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-36452005371613263192011-02-05T18:24:40.276+09:002011-02-05T18:24:40.276+09:00「世代間格差は『解雇規制の緩和』では解消されない」を拝見させて頂きました。そもそも、国内企業が日本国...「世代間格差は『解雇規制の緩和』では解消されない」を拝見させて頂きました。そもそも、国内企業が日本国内での雇用創出をどこまで選ぶのか?そして、原資を税金で賄うべきか、という事が気になりました。<br /><br />上記の点、実態として、労働集約的な産業は人件費の安い国で、知識集約的な産業はグローバル競争へ、というトレンドが有る中で、どうお考えでしょうか?Anonymoushttps://www.blogger.com/profile/00349108208935453221noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-20961757878643160692011-02-05T16:27:16.712+09:002011-02-05T16:27:16.712+09:00ものすごく単純な発想ですが、「多様な内容の契約」をするには、それをオファーする企業側が法律のお勉強を...ものすごく単純な発想ですが、「多様な内容の契約」をするには、それをオファーする企業側が法律のお勉強をするなり、それに詳しい専門家の助言を受ける必要があります。それはコストがかかるし、何よりも面倒くさい。中小だとそういう所の方が多いのではないでしょうか。Anonymousnoreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-7568195232542196202011-02-05T14:32:04.123+09:002011-02-05T14:32:04.123+09:00野川です。根津さん、貴重なご指摘ありがとうございます。もちろん、私も三者構成の労政審における法制定へ...野川です。根津さん、貴重なご指摘ありがとうございます。もちろん、私も三者構成の労政審における法制定への努力を軽んじているのではありません。ただ、審議会では労使とも互いの利益代表として発言するので、まとまるのは両者の利害が一致するか、政治的思惑によりどちらかが譲歩することを選択した場合がほとんどなのです。派遣法についても、改正のつど、労政審における綱渡りのかけ引きが行われながら現在の派遣法に至っています。労働側に有利な部分と使用者側に有利な部分とが玉虫色に混在しているかのような印象がぬぐえないのはそのためです。<br />要するに、労政審の三者構成システムは、ILOの原則に則った非常に貴重なものではありますが、法的に十分に機能的で体系性のある実定法を次々と制定していくとか、入念で機動的な政省令の策定を広汎に実現していく、という場合にはあまりにも多大な時間とエネルギーを必要とするシステムなのです。それを踏まえると、多彩な労働契約の内容を法令で現場に促していく、ということが実現する可能性は高くないと言わざるを得ないでしょう。<br />橋口さん、ありがとうございます。解雇一般に議論を広げ、特に、明らかに不当な解雇や雇い止めについて実効性のある規制のありかたを検討することも、ぜひ行っていきたいと思います。Anonymousnoreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-67410616934894186972011-02-05T10:21:09.671+09:002011-02-05T10:21:09.671+09:00興味深く読ませていただいております。
> 予見可能性を回避した不確定な部分について、それこそ...興味深く読ませていただいております。<br /><br />> 予見可能性を回避した不確定な部分について、それこそ暗黙の了解が労使に成立しているのではないか<br /><br />少なくとも現時点では、特に新卒採用の場合、契約書を交わさない、交わしたとしても形式的・儀礼的なことが多いと思います(多いと言って、どれくらいの割合を占めるのかは分かりませんが)。<br />これに対し、新入社員が「きちんと契約書を交わしたいのです」「契約書の内容に納得できない箇所があります」などと言いにくい雰囲気もあり、そうしたものも含めて「正社員になること」の「暗黙の了解」があるように思われます。<br /><br />> 労働契約の内容をクリアーにして予見可能性を高める<br /><br />また配属も、本人の希望が全く聞かれないとは言わないものの、多くの場合「どこに配属されるか分からない」状態で入社し、命令によって配属先が決められることになります。そこでは、職務内容やOJT(下積み)的な配慮のみならず、社内の人員のバランス、人間関係なども判断材料になっていると考えられます。<br /><br />そうしたなか、新入社員にどれほど労働の内容について予見し、契約について交渉できる力があるのか、という視点が現実的には必要になってくるのではないかと思いました。<br /><br />また今後、整理解雇のみならず解雇一般、広く社会に蔓延している不当な解雇/雇い止めをいかにして規制できるのか、といった点に議論を広げていっていただけたら幸いです。<br /><br />雑駁な感想で申し訳ありません。<br />それでは失礼いたします。橋口noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-34498492994651731302011-02-04T20:46:40.428+09:002011-02-04T20:46:40.428+09:00いつも興味深く拝読しております。
>そうした多彩な契約を締結するよう法律や行政指導で誘導する...いつも興味深く拝読しております。<br /><br />>そうした多彩な契約を締結するよう法律や行政指導で誘導する、ということも、労政審の三者構成システムのもとでは実現可能性が低いと言わざるを得ません。<br /><br />ここの箇所ですが、例えば派遣労働などは法律の制定の影響を色濃く受けており(もちろん脱法行為や意図せざる結果はつきものですが)、法律あるいはガイドラインの策定であってさえも、一定の効力があると認めても差し支えないのではないでしょうか?<br /><br />法律改正やガイドライン策定の事例を網羅的に検証したわけではないので、あくまで個人的印象に基づくもので恐縮ですが。根津http://lbs.air-nifty.com/noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-30229070105919580172011-02-04T18:25:10.399+09:002011-02-04T18:25:10.399+09:00ふじちゃんさんのコメントに対して回答しないのですね、
まあ、大学の教員などという既得権益の権化のよう...ふじちゃんさんのコメントに対して回答しないのですね、<br />まあ、大学の教員などという既得権益の権化のような地位に居座っている方からしたら既得権益削られるなんて耐えられないですからね、わかります。<br />正規・非正規の問題も机上の空論として業績上げてたらいいだけだから楽なものですよね。<br /><br />これだけ世代間格差が広がり、社会保障も生まれてくる子供と現在の高齢者では7000万も違いがあり、すべての借金を先送りにする日本に対して海外の経済学者たちが口をそろえて、「私が日本の若者なら暴動を起こす」と発言していることはご存知でしょうか?大学教員の安楽いすに座っていれば自分の業績の範囲外の知識は知る必要ないのかもしれませんが。<br />なんでも先送りして、解決するのに時間のかかる日本社会のことですから、あなたの議論も20年後くらいに有効になるでしょうねえ、既得権益を持った人たちが引退したころに(笑)<br /><br />金正日さんなんかも既得権益者なので話し合って地位を少し譲ってもらうのがいいとお考えですか。<br /><br />これからも大学内で業績上げるのがんばってください。Anonymousnoreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-29169329317049761532011-01-28T11:10:11.583+09:002011-01-28T11:10:11.583+09:00コメントのレスありがとうございます
いわゆるホワイトカラー(総合職)と一般事務職(派遣事務職を含む)...コメントのレスありがとうございます<br />いわゆるホワイトカラー(総合職)と一般事務職(派遣事務職を含む)の賃金格差は、<br />>非正規にはない義務や不自由があるから、<br />ではなく別のところにあるように思えます。(直感ですが)外国にも、ホワイトカラーと一般事務職には賃金格差があるようですし。<br />私は非正規の総合職という人を現実に見たことがないので、非正規というと事務職やブルーカラーしか想像できないのですが・・・ふじちゃんnoreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-6470440312137766572011-01-27T21:53:41.159+09:002011-01-27T21:53:41.159+09:00スパム扱いされていたコメントが2件あったので,とりあえず解除しました。内容が二つとも同じなのですが,...スパム扱いされていたコメントが2件あったので,とりあえず解除しました。内容が二つとも同じなのですが,これらは同じ方からの投稿でしょうか?そうであれば重複している後者を削除したいと思います。munetomoandohttps://www.blogger.com/profile/00113393863268478771noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-41386553304745808842011-01-27T21:21:34.899+09:002011-01-27T21:21:34.899+09:00主流経済学者たちの解雇規制に関する見解はほぼ一致しています。
【伊藤元重】
日本の未来を考える...主流経済学者たちの解雇規制に関する見解はほぼ一致しています。 <br /><br />【伊藤元重】 <br />日本の未来を考える、企業任せの雇用に転換点 <br />http://megalodon.jp/2010-0408-2142-14/sankei.jp.msn.com/economy/business/090307/biz0903070258002-n1.htm <br /><br />【大竹文雄】 <br />日本社会はなぜ「解雇規制緩和論」を受け入れようとしないのか <br />http://diamond.jp/articles/-/8098 <br /><br />【竹中平蔵】 <br />"日本版オランダ革命"に取り組め <br />http://www.youtube.com/watch?v=K6V6gcI4x8g <br />竹中平蔵のポリシー・スクール、雇用は健全な三権分立から <br />http://www.jcer.or.jp/column/takenaka/index124.html <br /><br />【八代尚宏】 <br />日本的雇用慣行の再評価と労働市場規制 <br />http://www.jacd.jp/news/column/100513_post-49.html <br />解雇ルールを法制化した労働市場が必要 <br />http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/cover/bigbang/070905_5th/miwamukunoreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-72668550915008190672011-01-27T21:00:55.532+09:002011-01-27T21:00:55.532+09:00主流派経済学者の間では、解雇規制についての見解はほぼ一致しています。
【伊藤元重】
日本の未来を...主流派経済学者の間では、解雇規制についての見解はほぼ一致しています。<br /><br /><br />【伊藤元重】<br />日本の未来を考える、企業任せの雇用に転換点<br />http://megalodon.jp/2010-0408-2142-14/sankei.jp.msn.com/economy/business/090307/biz0903070258002-n1.htm<br /><br />【大竹文雄】<br />日本社会はなぜ「解雇規制緩和論」を受け入れようとしないのか<br />http://diamond.jp/articles/-/8098<br /><br />【竹中平蔵】<br />"日本版オランダ革命"に取り組め<br />http://www.youtube.com/watch?v=K6V6gcI4x8g<br />竹中平蔵のポリシー・スクール、雇用は健全な三権分立から<br />http://www.jcer.or.jp/column/takenaka/index124.html<br /><br />【八代尚宏】<br />解雇ルールを法制化した労働市場が必要<br />http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/cover/bigbang/070905_5th/<br />日本的雇用慣行の再評価と労働市場規制<br />http://www.jacd.jp/news/column/100513_post-49.html僭越さんnoreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-74727731076368420602011-01-27T09:33:15.591+09:002011-01-27T09:33:15.591+09:00コメントありがとうございます。「このBlogについて」のページにあるとおり、一つ一つにお応えすること...コメントありがとうございます。「このBlogについて」のページにあるとおり、一つ一つにお応えすることはできませんが、ご指摘のいくつかの点について一般的に述べますと、まず正社員のみが過酷な労働条件を甘受せざるを得ないわけではないことはその通りです。ただ、正社員が過労死の危険まで引き受けている背景に、それに見合う長期雇用の利点や高い処遇の期待があることは事実です。また、正社員と非正規従業員という分類自体があらかじめ決められたものではないので、正社員にも非正規従業員にもさらに細かな区分を設けて、より正確な比較対象のグループ分けをすることももちろん可能でしょう。しかし、どのような比較対象グループを設定するかということ自体が論点になるので、これについては予備作業がかなり重要になると思います。theophil21https://www.blogger.com/profile/17813321407828316592noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6810482584961133314.post-82466337780158405092011-01-26T23:19:56.918+09:002011-01-26T23:19:56.918+09:00>契約によって正社員は長期雇用を享受し、その代り過酷な指揮命令によって過労死の危険まで引き受け...>契約によって正社員は長期雇用を享受し、その代り過酷な指揮命令によって過労死の危険まで引き受けて働いているという実態が背景にあります。<br />辞職して転職をする権利は保障されています。非正規雇用であっても生活の為に過酷な労働条件を甘受せざるを得ない点は全く同じです。この点を正規雇用についてだけ強調する必要があるとは思えません。Anonymousnoreply@blogger.com