2011年4月5日火曜日

衝撃に絶えうる労働市場の整備 (野川)

安藤さんも指摘されている通り、3月11日を境に、日本は一変してしまいました。もちろん、だからと言ってこれまで検討してきた問題が看過されてよいということにはなりませんが、やはり新しい状況に対して私たちなりにきちんと対応する必要があると思います。整理解雇や、ひいては労働者の置かれた実情を踏まえた上での労働市場の活性化の在り方について検討してきたこれまでの検討については、また再開する機会を考えましょう。

今回の大震災で、直接間接に職場を失い、生活にも困窮している方々は少なくありません。さまざまな支援が不可欠だと思いますが、まずは被災者が働く場をどのように確保するかが我々の持ち場における課題でしょう。

安藤さんは、 今こそ外部労働市場の整備を急ぐべきであるとしておられますが、そこで指摘されている内容は私も全面的に賛成です。そこで、私なりにコメントを加えておきます。

安藤さんが、被災者が新たに職に就くとして考えられるケースを四つに区分されていますが、このうち、 1.復興とともに,現地で再び同じ仕事に就くこと という選択肢については、復興のスピードや具体的内容(崩壊した産業がそのまま復活するのか、また復活させる政策対応をするのか、等)によりある程度決まってくると思いますが、それ以外は、マッチングのための相当思い切った仕組みが必要なように思います。

私は、最大のポイントは、現地の復興そのものについて被災者の就労を後押しする制度を構築することと、被災労働者が職業訓練を受けたり職業紹介を受ける場合のクーポンのような制度を検討することだと思います。そして、現在整備されつつある求職者支援制度の中に、特別措置として被災労働者のための給付と職業訓練への紹介を優先的に行い、速やかな職業転換をはかることが不可欠でしょう。

ただ、これにはさらに検討しなければならない課題があります。一つは、こうした応急処置にとどまらず、今回の事態を踏まえて、外部的かつ突発的な衝撃にも一定程度耐えうるような労働市場をどう構築するかということです。それには、いっそう弾力的で労働者に不安を与えることの少ない制度的整備とともに、前回私がチラッと提示した解雇の金銭解決制度を検討しうるような転職市場の拡充などが急務となるように思います。またもう一つは、被災労働者のための特別措置を考えるとき、それが「被災使用者」の現状に鑑みてどれほど実効性があるかを検討すること。実際には、失われた職場そのものの再創出のためには、速やかな産業復興が中心的課題となることは間違いありませんから、そのことと被災労働者へのサポートとの有機的な連携が大きなポイントとなるように思います。

また安藤さんのご意見をうかがって、少し掘り下げた検討もしていきたいと思います。

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